修理業界で権威のある米iFixitが、Nintendo Switch 2 Proコントローラーの分解動画を公開。
そのリペアラビリティ(修理しやすさ)について極めて厳しい評価を下しているようです。
修理を困難にする設計上の問題
複雑すぎる分解工程
Switch 2 Proコントローラーの最大の問題点は、内部パーツへのアクセスが著しく困難であることです。
バッテリーやアナログスティックなどの修理頻度が高い部品に到達するためには、まず強力な接着剤で取り付けられたフェイスプレートを取り外さなければなりません。
これには剥離剤とピックのような専用工具が必要で、かなり強い力が必要とされています。
フェイスプレートを取り外した後も、複数のプラスチック層、楔状のパーツ、バンパーボタンなどを順次取り外す必要があります。
iFixitの分解担当者は「なぜネジ止めだけの構造にしていないのか」と疑問を呈しています。
さらに、バッテリーに到達するためにはメインボードも取り外す必要があり、一般ユーザーがここまで到達することは現実的ではありません。
継続するドリフト問題
Switch 2 Proコントローラーは、Joy-Con 2と同様のポテンショメーター式アナログスティックを採用しています。
この技術は物理的な接触による摩耗が原因でドリフト現象を引き起こしやすく、初代SwitchのJoy-Conで集団訴訟に発展した問題と同じメカニズムです。
任天堂は2025年4月に、Switch 2のコントローラーでドリフト防止に有効な「ホール効果センサー」を採用しないことを確認しています。
その理由として、本体の磁性アタッチメント機構との干渉を挙げていますが、磁気干渉を受けにくいTMR(トンネル磁気抵抗)センサーという代替案もあったはずとの指摘も。
他社製品との比較と修理費用
競合製品の優位性
iFixitは、Xbox Wireless Controllerのようにユーザーが簡単にバッテリー交換できる製品と比較して、Switch 2 Proコントローラーの設計を強く批判しています。
また、GuliKit Elves 2 Proのような、より安価でありながらホール効果センサーを搭載し、修理しやすい代替品の存在も指摘しています。
高額な修理コスト
Nintendo Switch 2 Proコントローラーの販売価格が9,980円の一方、公式修理料金目安は6,490円。
たとえばドリフト現象で修理が必要となった場合、目安どおりだとすると65%もの修理料金が必要となってしまいます。

SwitchのプロコンとJoy-Conを修理に出したときの写真
新品を買った方がいいかと躊躇するほどの値段ですね。。。
消費者への影響と今後の課題
Switch 2 Proコントローラーの設計における数少ない改善点は、ヘッドホンジャックが完全にモジュール化されており、比較的簡単に交換可能なこと。
また、初代Switch Proコントローラーと比較して、アナログスティック自体の取り外しは若干容易になっているとされています。
しかし、iFixitの評価により、Switch 2 Proコントローラーは「修理しやすさ」よりも「製造コストや外観デザイン」を優先した設計であることが明らかになりました。
これは消費者にとって、故障時の修理選択肢が任天堂公式サポートのみに限定されることを意味し、高額な修理費用と長期間の修理期間を負担することになります。
修理業界の専門家による「修理の悪夢」という評価は、「修復する権利」が重視される現代において、任天堂の設計思想に対する重要な警鐘となっています。
一方で、機能性や操作感については高い評価も得ており、使用時の快適性と修理性のトレードオフが浮き彫りになったといえるでしょう。
source:Engadget
コメント